化学生物総合管理

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弟9巻 , 第2号 , (pp.197-220)
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食と農薬 −食べる健康リスクについて考える−
梅津憲治
大塚化学株式会社 (東京農業大学総合研究所)
一般に消費者は食品に残留する農薬を最大の健康リスクと捉える傾向にある一方で、食べ物に含まれる天然化学物質は天然故に安全と信じている。本稿では、田畑に散布された後に農産物や加工食品に残留する農薬と、それらの中に同時に存在する天然化学物質の健康リスクについて科学的事実に基づいて検証する。農薬の場合、実験動物を用いた各種の毒性試験が実施され、その結果に基づいて人が一生涯摂り続けても毒性による影響が出ない一日摂取許容量(ADI)が定められる。さらに、当該農薬の農産物からの摂取量がADI以下になるように作物別に残留基準が設定される。各種機関の残留分析データによれば、基準を超えて農薬が農産物に残留する割合は0.01〜0.03%であり、残留農薬による健康リスクは極めて低いと思われる。一方、作物中に元来存在する、あるいは食品の保存、調理、摂食の過程で産生する天然化学物質に由来する中毒事件が頻発している。また、日々摂り続けた場合に長期毒性を発現する天然化学物質の存在も知られている。我々は、天然化学物質の健康リスクにより注意を払うべきであろう。
Keywords: 残留農薬 , 健康リスク , 安全性評価 , 一日摂取許容量 , 残留基準 ,
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