化学物質総合管理による能力強化策に関する研究(その9)‐国権の最高機関の決議に応える要諦は国際合意の誠実な履行‐
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星川欣孝、増田優
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お茶の水女子大学 ライフワールド・ウオッチセンター
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今回の2009年化学物質審査規制法改正では政府が提案した改正案に対して衆参両議院が数多くの附帯決議を付した。それらの決議事項の多くは日本の化学物質管理の体制強化に係る広範な課題を提起しており、広範な化学物質管理の中の一分野を担うにすぎない化審法の枠内では対処できない。言い換えると、国権の最高機関である国会が政府に対して国際的潮流である化学物質総合管理を受け入れ、SAICM等の国際合意を確実に履行するよう要請した形となった。そこで、両議院附帯決議の詳細な分析に加えて、SAICM関係省庁連絡会議など政府が進めているSAICMへの対応の問題点を解明し、政府が両議院附帯決議の下でSAICMへの対応を遂行する際に必要となる取組みのあり方について考察した。そしてその結果に基づき、国際合意の誠実な履行の観点からも、また国内の化学物質の総合管理能力の強化のためにも、広く関係者の参加を得て化学物質管理のナショナル・プロファイルを策定し、それを基に国内実施計画を作成して実行する手続きを踏む必要があることを改めて提言する。
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Keywords: |
化学物質審査規制法 , 国会附帯決議 , SAICM関係省庁連絡会議 , SAICM国内実施計画 , ナショナル・プロファイル , |
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[PDF (696.7K)]
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