化学生物総合管理

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第4巻 , 第1号 , (pp.69-77)
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異臭のあった新築ビルの化学物質濃度
斎藤育江1、瀬戸 博2、上村 尚3
1東京都健康安全研究センター環境保健部環境衛生研究科 2東京都健康安全研究センター環境保健部環境衛生研究科 (当時)、現 東京都福祉保健局健康安全室環境保健課 3東京都健康安全研究センター環境保健部 (当時)、現 明治薬科大学
竣工直後のビルに入館した多数の職員が、異臭及び体調不良を訴えた事例に関して、室内空気濃度測定と臭覚パネルによる官能試験を行い、臭気の原因物質について解析を試みた。臭気と症状に関するアンケート調査では入館者202名の職員のうち120名から回答が得られた。異臭や体調不良を訴えたのは94名(78%)で女性では89%の高率であった。主な症状は、鼻が刺激される、目がチカチカする、喉がイガイガする、気分が悪い・胸がむかむかする等であった。館内の化学物質濃度を測定したところトルエン、エチルベンゼン、キシレン、ブタノールが高濃度で検出され、発生源は床材のビニルシートを貼り付けるのに使用された接着剤と推定された。館内10ヶ所の化学物質濃度と臭覚パネルによる官能試験を実施し、両者の関連性をみたところ、ブタノール、キシレン、エチルベンゼンと臭気レベルとの相関が高かった。これらの物質の臭覚閾値を考慮するとブタノールが異臭の原因物質と推定された。
Keywords: 室内空気 , シックビルディング症候群 , ホルムアルデヒド , 揮発性有機化合物 , ブタノール ,
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