化学生物総合管理

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第1巻 , 創刊号 , (pp.105-117)
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OECD HPV/SIDS点検プログラムを通じての国際貢献
蛭川 舞・星野歳三・美濃部安史、Ulrich Maurer、Marcel Ceresiat、望月次郎・村田 収
財団法人 化学物質評価研究機構、Clariant GmbH、Tessenderlo Chemie NV/SA、イハラケミカル工業株式会社
要旨:OECDのHPV/SIDS点検プログラムは、高生産量 (OECD加盟国の少なくとも1カ国またはEU地域での生産・輸入量が1000トン/年以上のもの) の既存化学物質を対象にOECD加盟各国が協力して物質を分担し、その有害性の初期評価を実施することを目的としたもので、1991年に理事会決定がなされ1992年から開始された。スポンサー国が中心となり有害性の初期評価に必要な設定項目についてデータ収集および信頼性判断を行い、必要に応じて追加試験を実施して初期評価文書を作成する。スポンサー国内で承認を受けた評価文書はOECD加盟国による初期評価会合 SIAM (SIDS Initial Assessment Meeting) で討議され、修正過程を経たのちOECDの合意文書として承認され、最終的にはUNEPから出版される。本プログラムは1998年から産業界 (国際化学工業協会協議会) が参画することにより点検作業の加速化がなされている。
著者らは1-chloro-2-(chloromethyl)benzene (o-chlorobenzyl chloride; OCBC) について、イハラケミカル工業株式会社をリード企業としてClariant GmbH (ドイツ) およびTessenderlo Chemie NV/SA (ベルギー) と国際コンソーシアムを組み、本プログラムに参加した。OCBCの用途は農薬中間体で、最近のOECD加盟国における生産量は年間数百トンまで減少しているが、特に環境中の生物に低濃度で影響を与える可能性を示すデータが得られている。また、水中で比較的速やかに加水分解するため分解生成物の毒性についても考慮して評価する必要があり、さらには、暴露実態の把握も必要不可欠であった。OCBCのSIDS文書作成にあたっては、これらの問題点を客観的かつ正確に記述し、有害性のプロフィルを明確にするとともに、現実的な暴露によるリスクは決して大きなものではないことを合理的な展開により考察するよう注意を払った。OECDに提出したOCBCのSIDS文書に基づき、SIAP和訳版、SIAP、SIARおよびSIDS Dossierを掲載した。
(化学生物総合管理 第1巻第1号(2005.1) 105-117頁)
Keywords: HPV , High Production Volume , SIDS , OCBC ,
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